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author:すなっふ

田舎者から東京都民になりました。
「unsnuff」という名義で、ソロで音楽活動をしています。
が、音楽活動の宣伝はTumblrに移行しましたので、このブログでは音楽活動に関係のない内容(好きな音楽や映画のレビューなど)についてゆるりと書いていきたいです。

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虹ヶ原ホログラフ/浅野いにお
評価:
浅野 いにお
コメント:虹ヶ原ホログラフ

僕は浅野いにおの漫画があまり好きではないのだが、この作品は面白いと思った。逆に、「浅野いにおは好きだけどこれは受け付けない」という人もいるようだ。そんな浅野いにおの問題作がこの「虹ヶ原ホログラフ」である。全1巻。

その理由の一つはまず、非常に難解であるということ。
いくつもの時間軸が同時に存在し、現実と非現実が交錯する世界が描かれる。深く読み解いていかないと、キャラクターの人間関係や、時系列、物語の核を見失ってしまう。
そしてもう一つの理由は、圧倒的なまでの「暗さ」だ。残虐であり、陰鬱としていて、性的描写も多くある。全ての人物に救いがないその物語に不快さを覚える人も多いだろう。

物語は虹ヶ原を舞台に、ある小学校でつながる人物たちをめぐって進行する。1話ごとに過去と現在を交互に描き、その二つが繋がっていきながら物語は核へと向かっていく。
陰鬱な内容とは対照的に、「蝶となった魂が世界を見守る」というどこかメルヘンチックなモチーフが全編に重要なキーワードとして描かれる。冷酷な世界の中にファンタジックさを描く、その醜さと美しさを混在させるという描き方はまさに浅野いにおといった感があり、独自の世界観を生み出している。

そしてその中に描かれているテーマもとても彼らしい。それは「生きる」ということである。
「それでも君は生きるんだ」という作中の台詞に代表されるように、どんなに世界が見にくく歪んでいようと生きていかなければいけない、というテーマが作品の根底に込められている。
このテーマは浅野いにおの作品に一貫して描かれているものであり、異色作のようで実はとても彼らしい作品なのだ。
ただ、その難解さと圧倒的な暗さが、他の作品とは違った雰囲気を与えてくる。その雰囲気は漫画の域を越え、芸術的、かつ文学的なものすら感じさせる。この作品はいわば、浅野いにおの視点により切り取られた、残酷な現代の童話なのだ。

物語の構成、世界観、完成度など、他の彼の作品と比べても群を抜いていると僕は思う。醜さと美しさを、おとぎ話のような不思議な世界観の中で見事に混在させ、「生きる」という普遍的な自分自身のテーマを表現した傑作。

| すなっふ | | comments(0) | trackbacks(0) | - | - |
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